ゴルフという競技には上達のゴールがありません。
そのため、スイングフォームは改善の繰り返し。新しいギアが発売されれば試したくなるというゴルファーのなんと多いことか。
皆さん、時間もお金も相当かけていますよね。
その悩みのひとつをわずか3,500円ほどの費用で解消できるとしたら、どうですか?
新しいクラブを数万円かけて試すよりお手軽だし、時間もかかりません。実はそんなアンビリバボーな体験を私はしてしまいました。
本日はそのアンビリバボーな商品を製造販売している新潟県の株式会社山忠さんの担当者にお話しを伺ってきました。
Contents
スイングを構成するポイントは足元
スイングの矯正というと、どうしても上体や腕の使い方に終始してしまいがちですが、最近は足元が注目されるようになってきました。身体の全体重を支えるのは「足裏」。
しかし、足裏が全身の表面積に占める割合はたった1.5%と言われています。
足元がしっかり身体を支えていないとスイングは当然ブレます。
そのため、シューズのインソールが近年、注目されてきましたよね。
プロゴルファーは2万円以上のシューズを履いていますが、インソールは3万円以上のモノを使っているそうです。
そしてプロのインソール使用率は100%です。
でも待って!インソールだけで十分ですか?インソールと素足の間には何がありますか?
そう、「靴下」です。‟機能性靴下“を履いているか履いていないかでパフォーマンスが大きく変わってきます。
それをこれから、製造元の山忠さんに説明していただきます。
いま、3足千円の靴下でプレーしているゴルファーの皆さん。
特に足に課題を抱えている方は必読ですよ。
スイングを矯正する靴下という発想
今回、ゴルファーにオススメしたい靴下は(株)山忠の「ケアソク」(CARE:SOKU)というブランドです。
ケアソクは「足の悩みに特化した靴下」。それとゴルフの悩みがどう繋がるのか教えていただきましょう。
Q:ケアソクの特長とゴルフとの関連性について教えていただけますか。
山忠:はい。まず、現代人は足に問題を抱えている人が実に多いんです。
足は図のようなカメラの三脚のような構造によってバランスを取っています。
しかし、アーチのバランスが崩れていると身体を重心点で支えられません。
ケアソクの靴下の構造はそうした乱れを補正してくれるんだそうです。
ケアソクは5本指ソックスです。
しかし、一般的な5本指ソックスは外側から見ると指同士が離れているのに対し、ケアソクは内部が分かれていますが外側はくっついています。
これを「インナー5本指」といいます。
この構造がケアソクの特長です。わかりやすい例を見てみましょう。
この方はこのように人差し指の上に親指と中指が重なっています。
そして一般的な5本指ソックスを履いた場合もこの指の重なりはそのままです。
Q:凄い形ですね。ハイヒールを履いてお仕事している女性に多いんですってね。これでは親指と中指は指が浮いてるし、アーチも崩れて裸足では歩きにくいですよね。
山忠:はい、そこで、ケアソクです。ケアソクはつま先の中で5本指に仕切られているので、指が重なることを防ぎます。
そして、一本一本の指が伸びるのを感じるはずです。
靴下はインソールとは違い指を全方位的に包み込むことができるので、指の角度や方向を変えたりするのに適しているんです。
Q:これで5本指が地面に均等に接地するようになりましたね。
ゴルフとの関連性がわかりました。
足の5本の指で地面を掴むことは飛距離UPに繋がります。
いくら高級なインソールを敷いていても、指が浮いていてはパワーを球に与えられませんからね。
でも、ケアソクの機能性はそれだけですか?
山忠:いえ、他にもゴルフに役立つ機能があるので、ご紹介します。
「かかとハニカムクッション」です。
踵に独自のクッションがあります。人は歩くときに踵から接地します。
その衝撃が関節や筋肉に伝わります。そこで踵にクッションを設けました。
また、クッションの厚みで踵が少し上がるので足指が接地しやすくなる利点もあります。
Q:ますます、5本の指に力が入りやすくなりますね。
そして、ゴルフによる歩き疲れも軽減してくれますね。
また、もしかしたら、このクッションは傾斜地からのショットにも効果がありそう。
これはコースで試してみないと。
山忠:ケアソクにはもうひとつ特長があります。
それがひろがった足幅を補正する「横アーチサポート」です。
先ほどの図にあった「横アーチ」の衰えはアーチバランスが崩れ、やはり重心点がズ
レてしまいます。それを包んで広がりを抑えます。
Q: このサポートによってスイングで最も大切といわれる「拇指球」の安定性によい影響
がありそうですね。
拇指球はアドレス時の重心位置ですし、ダウンスイングでは右足の拇指球を意識して地
面を踏みつけ、インパクトでは左足の拇指球で踏ん張ります。
拇指球は上体の突っ込みを抑え、踵重心を避けるためにもとても重要。
この前傾姿勢を保つことで、ヘッドスピードが上がり、ミート率もアップすると言われ
ています。
それでは、実際にラウンドで試してみますね。
ラウンドで実践してみました
フェアウェイは広いですが、ラフにはマウンドもありトリッキーです。
ドライバーの距離と方向性を実測するにはちょうどいいコースです。
ドライバー
アドレス時、私はいつもやや踵体重なのですが、今回は自然と拇指球重心になり、スッと構えることができました。
足指にも力が入り、地面を掴んでいる感覚のままティーショット。
バックスイングの時の右足拇指球の地面の踏みつけ、インパクトからフォローにかけての左足の拇指球で踏ん張る感じがよくわかります。
何よりも、「左の壁」がいつもより出来ている感覚がありました。
そして、ヘッドスピードにもその効果があったのでしょう。
飛距離がいつもより10~20ydも伸びていたんです。
年齢と運動不足から、飛距離の低下を気にしていましたが、靴下ひとつでこんなに変わるなんて正直驚きました。
アイアンショット
ドライバーは面を狙って飛ばす道具。アイアンは点を狙う道具です。
要は方向性が大事。それには身体のブレによるトップやダフりを抑え、スイートスポットでしっかりミートすることが方向性を確かなものにします。
また、ティーイングエリアは整地され平らですが、フェアウェイにはアンジュレーションがあるので重心バランスが取りづらいです。
ミスショットは重心の乱れによるところが多いですよね。
しかし、それも地面をホールドするインナー5本指と横アーチサポートを実感しながら打つことでアイアンの方向性が安定し、番手通りの飛距離を稼ぐことができました。
特に感じたのは、「つま先上がり」の斜面からのショット。
かかとハニカムクッションのおかげでスタンスが安定し、とても打ちやすかったです。
同様にバンカーでも効果がありました。
バンカーは滑るため、シューズを砂にめり込ませて打つのがセオリーです。
それでもクロスバンカーから距離のあるショットを素人ゴルファーが打つと大抵、ダフります。
しかし、ミート率がUPしたのか、クロスバンカーからも難なくいいショットが出ました。
パッティング
「パットに形なし」とよく言われます。
どんな打ち方でも要は入ればいいので、個性的なスタイルで打つプレーヤーは多いのですが、それでも禁物なのが体軸のブレ。
これも足のアーチを支えるケアソクの機能のおかげでブレないストロークが再現できました。
まとめ
私はシューズにインソールを入れており、それだけで十分と考えていましたが、不十分でした。反省します。
靴下にこれほどの効果があったとは、アンビリバボーな経験でした。
もちろんスコアは久々の80台前半でラウンドすることができ、大満足です。
ケアソクは2,750円~3,520円(税込)という価格帯です。ただの靴下であれば高価すぎると感じるかも知れません。
しかし、大変手間をかけて1足を編んでいます。
通常の靴下は1足、5~10分で編みあがるそうですが、ケアソクは1足70分もかかるそうです。
構造が複雑で仕上げの手間も相当かかり、厳しい品質基準をクリアするのが大変。
そのため量販店などで販売すると店側のマージンが乗り、1足5,000円くらいになってしまうので、直販がメインなのだそうです。
ケアソクは山忠の公式オンラインショップで購入することができます。
https://shop.caresoku.com/?mode=cate&cbid=2214079&csid=0
スイングフォームを矯正する靴下って?
実は今回の取材中に、私から提案をしました。
両足の外側にパットを入れて、体重移動を矯正する靴下を作ることができれば「ゴルフ練習用」として売れますよ、と。
ゴルフ漫画の「KING GOLF」ではこんなシーンがありました。
この漫画では右足の下に三角形の台を置いて、右足の体重移動を矯正しています。
これを靴下の中にパットを仕込むことでできないかと。
同様に左足の外側にパットを仕込めば、左膝が外側に流れることを防ぐので、「左の壁」作りが容易になります。
そうしたら、既に山忠にありました!
別の目的でかつては販売していたようですが、現在は廃版だそうです。
これは復活して欲しいですね。特許も取って、ゴルフ練習用に販売して欲しいです。是非!
ケアソクの他の商品
Q:これまで紹介した「ゴルフを進化させる靴下」はケアソクの「ととのえるシリーズ」
という商品でした。
ケアソクは全3シリーズ。他のシリーズは特に女性ゴルファーに喜ばれそうなので紹
介していただけますか。
山忠:はい、では「うるおすシリーズ」を紹介します。
踵の保湿にこだわった商品です。踵の部分に特別なシートを入れています。
詳しくはホームページを見ていただくのがいいと思いますが、3日くらいで効果を
実感できるはずです。
もうひとつは「あたためるシリーズ」です。
1足にセーター2着分の糸を使用しているので、極厚!それがふくらはぎまですっぽ
り包み込みます。
厚手なのにムレにくく、まるで足湯のような感覚が味わえます。
こちらはご自宅用にどうぞ。
山忠の企業姿勢
山忠は昭和33年に創業。創業以来、「行商精神」というポリシーで生活者の声を行商しな
がら取り入れ、不足に応える「独自性」を目指しているそうです。
ひとりのお客様の声から商品開発を実現した靴下も多々あるとか。
通販会社なのに自社工場とコールセンターが同じ敷地内にあるというのも、他の通販会社とは違う点。
コールセンターはお客様のクレーム窓口ではなく、「お客様と交流する窓口」と考えているから。
それは開発の手がかりになるし、お礼状がたくさん届くそうです。
ケアソクの流通は自社サイトの他、フットケアサロンや病院などのみで量販店、スポーツ
店には売っていません。理由は専門家がアドバイスできないから。
社内には「足の研究会」があり、専門家のアドバイスを受け、足のことばかり、日々研究
しています。
ここで私が多くを語るより、以下のマンガを読んでいただくのがいいでしょう。
とても分かりやすく描かれていて、読み応えがありますよ。
https://www.caresoku.com/manga/vol1/
■山忠 公式ホームページ
https://www.yamachu.net/
■山忠 公式オンラインショップ
https://onlineshop.yamachu.net/
<取材・構成 JGJA日本ゴルフジャーナリスト協会会員 影山 篤>